会員の声
もくじ (次の各項目をクリックいただくと会員様のご意見ご感想などが表示されます)
   ■高須博久 氏(会員番号38)
   ■河邉満江 氏(会員番号3033)
   ■神野志保子 氏(会員番号507)
   ■戸田惠子 氏(会員番号859)
   ■酒井和代 氏(会員番号3022)
   ■神野能生子 氏(会員番号213)
   ■水谷好克 氏(会員番号747)
   ■藤本逸子 氏(会員番号243)
   ■山本光伸 氏(会員番号67)
   ■豊橋市美術博物館 元主任学芸員 大野俊治 氏
   ■望月志郎 氏(会員番号621)
   ■平成23年7月22日 豊橋市美術博物館友の会主催 日帰り研修旅行アンケート結果より
   ■豊橋市美術博物館友の会 会長 宮田正人(会員番号20)

河邉満江 氏(会員番号3033)


いざ 大乗寺へ!!(2012春の研修旅行記)

 今回の研修旅行は、おいそれとは出掛け難い山陰の古刹「大乗寺」。応挙とその一門の大障壁画は、非常に見応えがありました。とりわけ収蔵庫の、保管に懸ける情熱の素晴らしさに「ここまでするのか!!」と度肝を抜かれました。いずれ我等が美術博物館も収蔵庫を建設する予定とのこと、参考になることもあるのではないかと……部外者の私でもワクワクしてしまいました。長時間、熱心に説明に当たられた副住職さんのトーク術に感服。ここには第5回トリエンナーレ星野真吾賞の大賞を受賞された田中武氏が、しばらく逗留されてみえた由。このような環境の中では深い思索も可能なのであろうと、改めて感じました。

 長距離バスの疲れを癒してくれたのは、もちろん城崎温泉の老舗旅館「西村屋」。小雨に煙る湯の町情緒あふれる、和の空間。外観は純和風なのに、設備は現代的。行き届いたもてなしを受け、久しぶりに和んだ一夜でした。館内の展示室も名だたる名品がずらり。堪能。翌朝、志賀直哉が逗留していたという宿の裏手を流れる川沿いを散策。雨上がりのしっとりとした柳の早緑が川面に映え、玄武岩を組んだ石垣も興趣を誘う。バスの中からはよく分からなかったが、こうしてゆっくり歩いてみると、両側に山が迫り、川が流れ、町の様々な歴史が刻み込まれて、豊かな情趣を醸し出していることがよくわかる。

 2日目、京都に立ち寄り、山県有朋の別荘であった無鄰菴を見学。既視感もあってか、さほどの感懐もなく、自由時間に突入。それぞれのペースで自由に、と言うことで、それは、それなりに良いのですが……。今回自分の反省点として、このような企画の折には、充分に下調べをして、効率的に観たいもの、行きたい所の時間配分をするべきでした。

 疲れていた所為で頭がぼんやりしていて、折角近代美術館に行っていながら、「井田照一の版画」展を観る気力もなく、帰豊してから、やっぱり観ておけば良かったなあ、と思っているのは、情けない。やはり事前準備は大切だ!!と言う結論です。

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神野志保子 氏(会員番号507)


大乗寺と応挙(2012春の研修旅行記)

 旅行前に徳川美術館「豪商のたしなみ」展で応挙の金屏風を拝見し、写実と省略、華麗と風雅の絶妙なバランスに圧倒された。たぶん、私にとって初のナマ応挙だったと思うが、それ以外、とくに知識も事前の学習もないまま当日を迎えた。

 バスに揺られ揺られて、ようやく大乗寺に到着。副住職が、客殿中央の十一面観音を取り囲む座敷ごとの意匠の違い、そこに込められた宗教的意味、ふすまの開閉や光による変化、金箔と墨の濃淡、ふすまを背に坐して見る世界……二次元の画面から広がっていく三次元・四次元の世界観、さらには、一般展示用に作成されたレプリカと収蔵庫で見る本物の違い、といったことを、熱をこめ、わかりやすく解説してくださる。一つ一つにうなずきながら、どっぷり応挙に浸ることができた。

 芭蕉の葉で遊ぶ童も犬ころも、見覚えあるわ。あれもこれも応挙(と一門)だったのね。なんて無知だからこそ素直に感じ取れたかも。と、自己弁護しつつ、やはり予備知識もガイダンスもなしでお堂を巡ったとしたら、表面的な絵面しか目に入らなかっただろう。副住職おっしゃるところの、鑑賞する側が知識や経験や想像力を脳内コラボしてこそ味わえる境地があることを、あらためて実感した。

 城崎温泉も大乗寺も、こういう機会でなければなかなか足を運べないところ。帰宅後、図録やネットを通して、あらためて興趣にふけったことであった。

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戸田惠子 氏(会員番号859)


二つの心(2011夏の研修旅行記)

 門を入ると漣たつ水庭が目につきました。奥には姫蒲と葭を交えた植栽のかたまりが浮いていて、その向うに茶室の屋根が見えました。水庭を見ながら進むプロムナードは、展示室への期待に心おどる設えでした。

 茶室の見学は10人ずつのグループに分かれてのご案内でした。手荷物は一切持込み禁止で、ロッカーに預けました。

 10年程前に本館とは別に新しく作られたものだそうです。先に心おどらせてみた水庭をうまく取り込んだ半地下の構造になっていて、広間は水上に浮いているような作りでした。楽家15代、楽吉左衞門の設計により造営されたものだそうです。

 石組みの間から自然光をうまく取り入れたり、大きくくり抜いた空間を生かして明りを作り、路地の闇からの転換にほっとしたり。寄付、露地、中潜、蹲と進んで行きました。アフリカから取り寄せたという黒い石と、同じく吟味しつくして取り揃えられたであろう木材も、大ぶりで、日本のものではありません。従来の茶室の形式はくずしてないのに、全く異なる空間に思われて、圧倒され、しだいに心に重くのしかかって来ました。

 心おどる設えと、のしかかる重い心。二つの心の鬩ぎ合いに、しばらくぼんやりと地上で中庭を見ていました。

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酒井和代 氏(会員番号3022)


十一面観音(渡岸寺)に魅せられて(2011夏の研修旅行記)

 『星と祭』井上靖を読んで、湖北地方の仏像には、どうしても会って見たいと長年思い続けていました。

 大きな丸い耳飾り、両肩に垂らした数本の髪の流れるような曲線、切れ長の目、胸飾りなどは、西域ガンダーラの仏像にどこか似ています。

 後頭部から飛び出したような「暴悪大笑面」(意外と小さい)は、ワッハハハとこの世のすべての悪を笑い飛ばしているかのように見えます。

 頭部の大きさをまったく感じさせないのは、大腿部の量感を強調し、異様に長い右手と衣文をひざ下に集めてバランスをとっているからなのでしょう。

 条帛は肩から胸、腹前にかけてキュッと上半身を締め付けるようにめぐらしています。折り返された裾裳の襞、背後の衣などは柔らかく、ゆったりと表現されています。やや腰を左に捻った後姿はとっても艶っぽく、あでやかに見えました。

 仏像の背面も拝観できるように、安置されているのは拝観者にとっては大変ありがたいことです。

 私は博物館、美術館で見る仏像には、あまり魅力を覚えません。仏像は歩いて来ない、自分が現地へ足を運び自分の目で見る、何かを感じたら、それを大切にすればいい、そんな思いをこめて、これからも素敵な仏像に出会える旅を続けていきたいと願っています。

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神野能生子 氏(会員番号213)


第5回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展

 全国からの応募286点中入選53点、過去の大賞作家の4点を賛助作品として加えた展覧会のオープニングに参加した。大賞受賞者以下20人程の作家が語る自作品についての思いと選考委員の先生方のコメントを聞いた。

 東日本大震災の傷跡が彼らアーティストに特に強烈で、体中に溢れる思いを如何に表現するかに集中しエネルギーとなって出来上がった作品が多いことを感じた。今の様な時、芸術にはどんな力があるのだろうか。音楽は人々の心を一つに力を合わせて奮い立たせる原動力となることはよくわかるが、主に個人の仕事であるアートも過酷な状況の中で人々に強い力を与えることを痛感した。

 驚いたのは、21世紀の今となっても我々日本人には共通して古代以来変わらぬ大自然の大きな力を崇拝し愛し糧とする心が染みついていると強く感じたことである。それとともに広い意味での仏教的な考え方が根本にあり、そういう意味でこれからも日本画という分野は独自の世界を築いていくことであろう。


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藤本逸子 氏(会員番号243)


「第5回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展 ―明日の日本画を求めて―」に寄せて

 豊橋市美術博物館で、11月11日から、「第5回トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展 ―明日の日本画を求めて―」が開催されています。

 「トリエンナーレ豊橋」は、故星野眞吾氏と高畑郁子氏がご寄附なさった資金を基金として、3年ごとに開催されている全国公募展です。創造的な制作活動を行う作家を発掘・顕彰することを目的としています。今回は、286作品の応募があり、そのうち、星野眞吾賞(大賞)・優秀賞を含めて53点が入賞しました。その53点に第1回から第4回の大賞受賞者の賛助出品4点が加わり、57点が展示されています。

 私は、星野眞吾美術振興基金運営委員をさせていただいており、その関係で、9月6日に行われた「第4次審査」を垣間見させていただくことができました。審査の妨げにならぬよう、そこに私がいることを審査員の方々がお感じにならないよう、室内にある机や椅子のごとく動かないよう静かに息をひそめて見ていました。「第4次審査」は、入賞作品の中から大賞と優秀賞を選出する最終審査です。約3時間かけて行われました。審査が終了したとき、私は、どっと疲れを感じました。何もせず、ただ椅子に腰かけてじっとしていただけなのにです。おそらく、審査中の張り詰めた空気を吸って、審査員の方々と同じように緊張していたのでしょう。とても気持ちの良い疲労感でした。

 審査員長の吉田俊英氏は、「僕は、審査員長と言ってもクラス委員のようなもので」とおっしゃり、すべての審査員の意見を積極的に引き出していらっしゃいました。忌憚のない自由闊達な意見のぶつかり合いは非常に魅力的で、わくわくしながら聞かせていただきました。

 優秀賞の決定には、多くの時間が費やされました。優秀賞の候補となった作品をいろいろ並び替えて検討をなさっていました。なぜ、並び替えるのか、その理由がわからなかった私は、並び替えることで、作品の見え方が変わることを知り驚きました。より公正な審査を行えるように、心を砕いていらっしゃることに、一人で密かに感動していました。

 この「星野眞吾賞展」は、12月11日まで行われています。57点の作品から、入賞者の熱い思いと同時に、5人の審査員の方々の熱い思いも感じられることと思います。皆様、是非、「星野眞吾賞展」にお出かけください。

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山本光伸 氏(会員番号67)


「ハーブ&ドロシー」

 友の会の山本と申します。何か雑文をとのことですので一筆失礼致します。

 小生は「とよはしまちなかスロータウン映画祭」というイベント運営に関わっておりまして、主に音楽ライブや落語イベントを担当しております。といっても映画に詳しいわけではないのですが、友の会のメンバーですのでアートと映画について思いつくことを書きたいと思います。

 映画の中に出てくるアートというといくらでもあるのですが、例えばデパルマの「殺しのドレス」にはNYのメトロポリタン美術館が出てきますし、最近では「プラダを来た悪魔」の中で、メリル・ストリープ扮する女編集長の自宅にさりげなくアレックス・カッツの絵が飾られていたりして、そんなシーンを見つけるとついついニヤリとしてしまいます。

 とりわけアートと映画といえば、昨年見た映画で印象に残っている作品があります。「ハーブ&ドロシー」というドキュメンタリー映画なのですが、NYに住むごく普通の年金生活の老夫婦が実は現代アートのスーパー・コレクターだったというお話です。郵便局員のご主人と図書館司書の奥様が、つましい生活の中から捻出したお金でコツコツと現代アートを買い集めて30年、気がついたらもの凄いコレクションになっていたのです。

 彼らのポリシーは、自分たちの給料の中から払えるお金で買えて、なおかつ彼らの1LDKのアパートに収まるものだけを買うこと。そして自分たちの足を使って作品を見て回り、気に入ったものだけを買い、そして絶対に売らないこと。彼らのアパートを埋め尽くす作品の数々、クリスト&ジャンヌ=クロード他、アーティストも続々と登場し、アートファンにはたまりません。

 映画を通して、お二人のアートに対する愛情と情熱がひしひしと伝わってくるのですが、なんといってもこのご夫婦が醸し出すなごやかで暖かい雰囲気がとても幸せな気分にしてくれるのです。ほんとうに豊かな人生とは何かを考えさせられる作品です。今でも全国で上映行脚をしていますので、チャンスがあったら是非ご鑑賞いただきたいと思います。

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〜平成23年7月22日 豊橋市美術博物館友の会主催 日帰り研修旅行アンケート結果より〜

 研修旅行について詳しくはこちらをクリックしてください。

 

◆樂吉左衞門館の茶室は今まで見たことのない近代的な茶室で、水と石と光の融合した、

 計算された造りに感激しました。

 

◆いきなりですみませんが…食事が美味しかった(笑)。渡岸寺の十一面観音は、以前行った

 時には物々しいセキュリティにびっくりしました。新しくなって今回はしっかりお参り(鑑賞)

 させていただき、改めてその美しさに感激しました。友の会の研修旅行に初めて参加しましたが、

 せっかく入っているのなら、このようなイベントに参加しなくてはもったいないと感じました。

 

◆十一面観音像は何と言っても渡岸寺のものがよかったです。佐川美術館では茶室見学、

 次に、セガンティーニの描くアルプスの絵。佐藤忠良の彫刻もたくさんありよかったです。

 平山郁夫の旅(ヨーロッパ)のスケッチも好きですし、楽焼のすばらしい作品を見て、

 その作家の樂吉左衞門を知ることができよかったです。このようなツアーを利用すると、

 同じ席で友達と気がねなく往復することができ助かります。企画や行程などすべてのご計画に

 対して感謝申し上げます。

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