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〜令和元年5月17日 豊橋市美術博物館友の会 令和元年度総会より〜
元号も令和となり、何となく全てのことが新しく感じられます。
そんな中、平成最後のお話ですが、平成天皇皇后両陛下の肖像画を当美術博物館とは大変繋がりの深い、野田弘志先生が描かれたことは皆さんご存知のことと思います。
NHKでも肖像画製作中のドキュメント番組が放映され、全国的に野田先生が紹介されました。2006年友の会20周年記念旅行で訪問させて頂いた洞爺湖の野田先生のアトリエをとても懐かしく観させて頂きました。
平成天皇皇后両陛下の肖像画はあの肖像画が最初で最後の作品となりましたのでとても貴重な作品となりました。その作品が2月2日から4月21まで皇居三の丸尚蔵館で展示されるとのことで、私共友の会の有志で観覧の計画を致しましたところ、野田弘志先生がご一緒に観て下さることになり4月18日に野田先生から肖像画の前で直にお話を伺うという大変貴重で贅沢な時間を持つことができました。
野田先生は私共だけのためにその日の朝から洞爺湖から千歳空港まで1時間半かけ、千歳空港から羽田空港そして皇居三の丸尚蔵館まで来て下さいました。夕方からお食事をご一緒させて頂きましたが、その時先生は「この頃は色々な会には出席しません。この会くらいなものですよ」と言われました。北海道に住んでは見えますがこの豊橋のことを本当に大切にして下さっていることを感じました。
また、「豊橋市美術博物館が私の作品を一番多く所蔵されてますよね」とも言われ、私共もとても誇らしく思いました。
平成29年度2年前の友の会総会の私の挨拶の中で次のようなことをお話させていただきました。
「館も開館40年近く経ち、収蔵品はとても充実してきました。中でも中村正義とその周辺の作品は他の館とは群を抜いての収蔵です。
今後も継続して収集していくことも大切ですが、これまでに収集した作品の価値を高めることがもっと大切ではないかと思います。例えば、中村正義を豊橋のピカソやゴッホにすることで豊橋市美術博物館を魅力ある館にできると思います。」とお話させて頂きました。
この程、野田弘志先生が先の偉業をなされたことで当美術博物館の所蔵する野田弘志作品の価値が高まったことは言うに及びませんが、私たちも事あるごとに自信を持って館の収蔵作品や作家の方々のことを多くの方々に伝えていきましょう。
話は変わりますが、この美術博物館が造られて40年を経過しました。その間、新美術館建設の計画もありましたが平成18年には諸事情から見送りとなりました。その後、収蔵庫と常設展示室が増築されましたが、そんな中、新美術館の建設予定地であった旧体育館跡地にアリーナ建設の計画が進んでいます。新美術館は忘れられてしまったのでしょうか?ということが先般の議会で問われました。答弁では新美術館は長いスパンの中で考えて行くが当面既設の館が美術博物館としての機能を正常に果たせるための改修を進めますとの趣旨でありました。
その流れの中で本年度「美術博物館改修基本設計」が行われることとなりました。作品を保護するためにも空調の整備は重要です。そして2階展示室へのエレベーターは必須です。トイレも清潔で明るいトイレにして欲しいですね。また、ミュージアムショップも常設にして欲しい等々の希望を持っています。
来年度は実施設計、工事は再来年度になるかと思いますが、利用されるみなさんの希望が少しでも叶うことを願っています。
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